学術誌の語数制限:何がカウントされ、超過するとどんなコストがかかるのか

学術誌の語数制限は、単なる数字ではなく「定義」そのものです。Nature Communicationsの5,000語にはMethods(方法)が含まれず、JAMAの原著論文における3,000語には表・図・文献リストが含まれません。一方でFrontiersは本文中の引用(in-text citations)もカウントし、IEEEの2誌はページ数で管理され、超過ページごとに料金を請求します。本稿では7つの学術誌の著者向けガイドラインに書かれている実際の内容と、原稿を削り始める前に自分の投稿先で必ず確認すべきポイントを整理します。

HumanPen チーム

· 7 分

学術誌の語数制限には何が含まれるのか?

何がカウントされるかは、投稿先学術誌の著者向けガイドラインの定義次第であり、その基準は雑誌によって大きく異なります。同じ6,000語の原稿であっても、除外されるセクションが異なるため、ある学術誌では制限内に収まる一方、別の学術誌では大幅な超過となることがあります。以下は、2026年9月25日に確認した7つの学術誌の公式規定です。

学術誌制限除外されるもの、含まれるもの
JAMA(原著論文:Original Investigation)"Maximum length: 3000 words of text"(本文の最大語数:3000語)抄録、表、図、謝辞、文献リスト、オンライン限定資料はカウント対象外。表と図は合計5点まで
Nature Communicationsガイドラインとしての目安:本文は"ideally"(理想としては)5,000語以内Abstract、Methods、References、Figure legends(図のキャプション)はカウント対象外
Frontiers(例:Frontiers in Medicine)Original Research(原著論文):"a maximum word count of 12,000"(最大語数12,000語)本文、脚注、本文中の引用をカウント対象に含む。抄録、キャプション、表、謝辞、文献リストはカウント対象外
Natureページ数制:物理科学分野は平均6ページまで、生物・臨床医学分野は平均8ページまで標準的な図表4点を含む6ページの論文の場合、目安は"2500 words (summary paragraph plus body text)"(要約段落と本文を合わせて2500語)
PLOS ONE"Manuscripts can be any length."(原稿の長さに制限はありません。)抄録は300語が上限
IEEE Transactions on Electron Devices誌レギュラーペーパーは"limited to seven pages"(7ページまでに制限)文献リストもページ数にカウントされる
IEEE Transactions on Evolutionary Computation誌レギュラーペーパーで10ページを超過した分は、1ページごとに料金が発生補足資料(Supplementary material)は上限15ページのカウント対象外

Nature Communicationsが示す数字は、初投稿時の絶対的な足切り基準ではありません。同一ページには、初投稿時のフォーマットに関して"is flexible with regard to the format of initial submissions"(柔軟に対応する)と記されており、"Within reason, style and length will not directly influence consideration of a manuscript."(妥当な範囲内であれば、スタイルや長さが原稿の審査に直接影響することはない)と明記されています。詳細なフォーマット調整は、改訂(revision)時に編集者から指示されます。

Wordの文字カウントで800語オーバーしていたとしても、文章を削り始める前に、上記の表や投稿先のガイドラインで自誌の基準を確認してください。実際にはすでに制限内に収まっている可能性もあります。

学術誌によって扱いが分かれるセクション

以下の各項目について、投稿先学術誌の規定を必ず確認してください。上記の雑誌でも扱いが大きく異なり、中には一切言及していないものもあります。

  • 抄録(Abstract): JAMA、Nature Communications、Frontiersはいずれも本文の語数カウントから除外しており、Nature Communicationsは抄録単体で200語の上限を設けています。全体の上限がないPLOS ONEでも、抄録は300語までに制限されています。一方、Natureはその逆で、一般的な分量の目安として"2500 words (summary paragraph plus body text)"(要約段落と本文を合わせて2500語)と定めており、要約段落(summary paragraph)もカウントに含まれます。
  • 方法(Methods): Nature CommunicationsはMethodsを5,000語の制限から除外した上で、"Methods are typically less than 3000 words."(Methodsは通常3000語未満である)と言及しています。Methodsを語数に含める学術誌の場合、計算は根本から変わってきます。
  • 文献リスト(References): JAMA、Nature Communications、Frontiersでは除外されており、Natureでも"Title, author list, acknowledgements and references are not included in total word counts."(タイトル、著者リスト、謝辞、文献リストは総語数に含まれない)としています。一方、IEEE Transactions on Electron Devicesでは7ページの制限枠内に含まれます。
  • 表・図・キャプション: JAMAは表や図を語数カウントから除外していますが、点数に上限を設けています。Nature Communicationsは図のキャプション(figure legends)を除外するものの、それぞれ350語までに制限しています。Frontiersはキャプションおよび表内の記載内容を除外しています。
  • 脚注および本文中の引用(In-text citations): Frontiersはこれらをカウントに含めており、"The manuscript length includes only the main body of the text, footnotes, and all citations within it"(原稿の長さには、本文、脚注、および本文中のすべての引用のみが含まれる)としています。さらにResultsセクションのガイドラインでは、脚注の使用を認めず"Footnotes should not be used and must be transferred to the main text."(脚注は使用せず、本文に組み込まなければならない)と求めています。
  • 付録(Appendices): Frontiersの規定には"Appendices should be no more than one page long and count towards the overall manuscript length and word count."(付録は1ページ以内とし、原稿全体の長さおよび語数カウントに含める)と記載されています。

投稿前の最終原稿チェック:AI開示、語数制限、引用、DOCXの整合性には、編集作業に入る前に語数カウントの定義を確定させる手順を解説したセクションがあり、その内容は本稿にもそのまま当てはまります。

ページ数制限の場合、図表が文章のスペースを奪う

Natureや前述のIEEEの2誌は、語数だけでなく紙面のスペースそのものを管理しているため、図表と本文が同じ配分枠を奪い合うことになります。Natureはその換算目安を明確にしており、"A ‘modest’ display item is one that, with its legend, occupies about a quarter of a page (equivalent to ~270 words)"(キャプションを含めて約4分の1ページを占める標準的な図表は、約270語に相当する)、および"An uninterrupted page of text contains about 1250 words."(図表のないテキストのみの1ページは約1250語を含む)と説明しています。

この仕組みを理解すると、どこを削るのが最も効果的かが変わってきます。ページ数制限のある学術誌では、2つの図を1つに統合したり、表を補足資料(Supplementary material)に移したりすることで、文章を何時間も推敲して一文ずつ削るよりも多くのスペースを一気に確保できます。しかも文章を書き直す必要すらありません。ただし、事前に学術誌がそれを許可しているか、補足資料がページ数に含まれないかを確認してください。たとえばIEEE Transactions on Evolutionary Computationは、最大ページ数について"(excluding supplementary materials)"(補足資料を除く)と明記しています。一方で、読者が研究結果を理解する上で不可欠な表を移動させてしまうと、削れたスペース以上の損失を招くことになります。

規定を超過した場合のペナルティとコスト

一部の学術誌において、制限の超過は単に編集者から差し戻される理由にとどまりません。実際に請求書が届くことになります。

IEEE Transactions on Evolutionary Computationでは、印刷ページ数においてレギュラーペーパーで10ページ、サーベイ論文で15ページ、レターで6ページを超えた場合、超過1ページあたり200ドルを請求します。超過料金を支払ったとしても、全体のページ数上限はそれぞれ15ページ、21ページ、9ページに設定されています。同誌の規程には、著者は"will be assessed a mandatory page charge of $200 (per page) for every printed page over these limits."(これらの制限を超えた印刷ページごとに、1ページあたり200ドルの必須ページ超過料金が課される)と記されています。

IEEE Transactions on Electron Devicesは、"when absolutely necessary"(真にやむを得ない場合)に限り8ページ目までを認めていますが、その条件として次のように規定しています。"For regular papers exceeding seven pages in length, a mandatory page charge of $200 per page (for each page beyond seven) will be assessed. This overlength page charge is obligatory."(長さが7ページを超えるレギュラーペーパーについては、7ページを超えたページごとに1ページあたり200ドルの必須超過料金が課される。このページ超過料金の支払いは義務的である。)

なお、これらはIEEE傘下の特定の2誌の例であり、IEEE全体で一律に適用されるわけではありません。ページ制限や超過料金は雑誌ごとに個別に定められています。

今回確認できなかった学術誌について

私たちは2026年9月25日に、The BMJ、The Lancet、NEJM、Science、Cellの著者向けガイドラインの取得も試みました。しかし自動取得ツールがいずれもボット判定ページに阻まれたほか、指定したURLのうち2件が移転していたため、上記の表には含めていません。私たちは自らの記憶や第三者による要約に基づいてそれらの規程を記載することはしませんでした。これらの学術誌への投稿を検討されている場合は、各誌の公式ガイドラインページを直接確認することが唯一の確実な方法です。

研究の結論や知見を損なわずに原稿を短縮する方法

何がカウント対象になるかを把握したら、以下の順序で削減を進めてください。

  1. 削る前に「移動」させる: 手法の詳細、補助的な表、二次的な分析結果などは、補足資料(Supplementary material)に移動できる場合があります。ただし、投稿先学術誌がそれを許可しており、かつ補足資料が語数カウントに含まれず、それらがなくても読者が研究内容を十分に追える場合に限られます。
  2. セクション間の重複を削る: Resultsの内容がDiscussionで再び詳しく繰り返されていたり、Discussionの冒頭でIntroductionの内容を長々と要約し直していたりする箇所は、論文の中で同じ内容が二度語られがちな典型的なポイントです。
  3. その上で文章を引き締める: 数値、単位、文献引用、条件を示す限定語(qualifiers)は研究の知見そのものです。これらは一切変更することなく、そのまま残さなければなりません。

これらの作業にAIツールを使用する場合は、事前に出版社のポリシーを確認してください。出版社によって、テキストの「校正・修正」と「テキストの生成」の境界線は異なっており、多くの出版社が開示(disclosure)を求めています。主要学術出版社のAI開示ポリシー比較では、各社の規定を個別に詳しく解説しています。

移動や削減を行ってもまだ超過している場合

まさにその段階のために用意されているのが、HumanPenの要約・凝縮(condense)機能です。事実・数値・引用は残したまま語数だけを目標値まで減らし、同じ形式の編集可能なファイルでお返しします。本機能は英語のドキュメントに対応しています。目標語数はWord全体の語数ではなく学術誌の定義に基づいて設定し、仕上がったファイルは元の原稿と数値や引用を一つひとつ突き合わせて確認してください。

よくある質問

抄録(Abstract)は学術誌の語数制限にカウントされますか? 今回取り上げた7誌の間でも対応が分かれます。JAMA、Nature Communications、Frontiersは本文の語数カウントから除外していますが、Natureは目安となる語数の中に要約段落(summary paragraph)を含めています。

文献リスト(References)はカウントされますか? 制限がどのように測定されるかによって異なります。JAMA、Nature、Nature Communications、Frontiersは文献リストを語数カウントから除外していますが、IEEE Transactions on Electron Devicesでは7ページの制限枠内に文献リストが含まれます。

原稿の文字数を減らすためにAIツールを使ってもよいですか? 使用する前に、投稿先出版社のポリシーを必ず確認してください。テキストの短縮がどの区分に該当するかは見解が分かれています。基本的な文法やスペルチェックのみを例外(開示不要)とする出版社もあれば、より踏み込んだ文章推敲であっても開示を条件に認める出版社もあります。また、元の文章に基づいていたとしても、文構造を書き直す処理は狭い免除規定の範囲外と見なされる可能性があります。出版社ごとのAI開示ポリシー比較で、各社がどこに境界線を引いているかを確認できます。

投稿先のページに何がカウントされるか明記されていない場合はどうすればよいですか? 原稿を削り始める前に編集部へ問い合わせ、タイトルページやカバーレターに使用した語数カウントの基準を明記してください。たとえばFrontiersは、著者に対して"indicate the number of words and the number of figures and tables included in your manuscript on the first page."(原稿の第1ページに含まれる語数、ならびに図および表の点数を明記すること)を求めています。

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