SafeAssign と Turnitin の AI 判定:それぞれが実際に見ているもの
SafeAssign を通過した論文なら、Turnitin の AI チェックも通過するだろう——学生はそう思いがちです。しかしこの二つのツールは、まったく異なるシグナルに対してまったく異なる分析を行います。この違いを理解すれば、なぜ一方は通って他方で引っかかる論文があるのかが説明できます。
HumanPen チーム
· 5 分
まず結論から
SafeAssign と Turnitin の AI 判定は、答えようとしている問いが違います。SafeAssign の問いは「この文章は、データベースに既にある何かと一致するか?」です。提出物を学術論文・ウェブサイト・機関リポジトリと照合し、一致したテキストの割合をパーセンテージで示します。一方、Turnitin の AI ライティング判定の問いは「この文章は機械が書いたように見えるか?」です。散文的な文における語の出現確率のパターンを分析し、AI が生成した可能性のある割合をパーセンテージで示します。SafeAssign を一致ゼロで通過した論文が、高い AI スコアを取ることはあり得ます。AI 判定はコピーされたテキストを探しているのではなく、語の選び方に表れる統計的なパターンを探しているからです。この二つのスコアは互いに無関係です。
SafeAssign は実際に何をしているのか
SafeAssign は盗用検知ツールです。仕組みは、提出されたテキストを所蔵のソース資料データベースと照合するというもので、このデータベースには学術出版物、インターネット上のコンテンツ、そして参加機関が提出した論文のリファレンスデータベースが含まれます。出力されるのは Originality Report で、一致したテキストとその出典を示し、提出物のどれだけが既存コンテンツと一致するかをパーセンテージで表します。このパーセンテージは一致率であって、それ以外の何ものでもありません。問われているのは、自分の書いた言葉が他のどこかに存在するかどうかです。どう書いたか、文体が機械生成の文に似ているか、語の選び方が AI に結びつくパターンに従っているか——そうしたことは分析しません。自分で一語一語書いたのに、言い回しがたまたま既出の文献と一致すれば、SafeAssign はそれを指摘します。逆に、データベースのどれとも一致しない完全なオリジナル文を AI で生成した場合、一致率はきれいにゼロになります。ただ、そのスコアの隣に並ぶものは変わりました。Anthology の SafeAssign Originality Report に関するガイドでは、現在レポートの四つの領域——Report Summary、Citations、Document Properties、Submission——が挙げられています。Document Properties パネルは 2026 年 3 月の Blackboard リリースで追加されたもので、一致箇所ではなくファイルのメタデータを収めます。著者または作成者、ファイルの作成日時、最後にファイルを変更した人物とその日時、Anthology が total ending time と呼ぶ項目、改訂回数、使用ソフトウェアです。Anthology はこれらの情報を、学術的誠実性の審査のための文脈と呼んでいます。同ガイドのサンプルレポートでは、このパネルは出典一覧の脇に置かれ、ページのどこにも AI のパーセンテージは見当たりません。そのガイドにも、その元になったリリースノートにも、文を機械生成と判定するモデルの記述はありません。GPTZero 自身の 2023 年 6 月付けの発表では、ベータ版として同社の検知器が米国の数十の Blackboard Learn 導入先の SafeAssign に組み込まれたと述べています。しかし Anthology の現在のヘルプページにはその記載がなく、それ以上に進展した形跡も見つかりませんでした。
Turnitin の AI 判定は何をしているのか
Turnitin の AI ライティング判定は、まったく異なる原理で動作します。Turnitin 自身の FAQ は、その処理を次のように説明しています。
「When a paper is submitted to Turnitin, sentences from the submission are extracted and segmented into overlapping sections for prediction analysis. Each segment is classified by the AI detection model and given a value between 0 and 1, denoting the probability of the text being likely human or AI-generated. Each qualifying sentence within these segments inherits the segment's score. Since segments overlap, some sentences may have multiple scores, which are then pooled into a single score. These sentence scores are further aggregated and used to compute the overall document AI writing score.」(論文が Turnitin に提出されると、提出物から文が抽出され、予測分析のために重なり合う区間に分割されます。それぞれの区間は AI 検知モデルによって分類され、0 から 1 の値が与えられます。この値は、そのテキストが人間によるものか AI によるものかを示す確率です。これらの区間に含まれる、条件を満たすそれぞれの文は、区間のスコアをそのまま引き継ぎます。区間は重なり合うため、複数のスコアを持つ文もあり、それらは一つのスコアにまとめられます。こうして得られた文ごとのスコアはさらに集計され、文書全体の AI ライティングスコアの算出に使われます。)
この検知器は一致箇所を探しているのではありません。モデルが学習中に身につけた統計的なパターンをもとに、テキストの区間を機械が生成した確率で分類しています。だからこそ Turnitin の FAQ は、「The Similarity score and the AI writing detection percentage are completely independent and do not influence each other.」(類似度スコアと AI ライティング判定のパーセンテージは完全に独立しており、互いに影響し合いません。)と明言しています。この独立性はどんな盗用検知ツールにも当てはまります。SafeAssign の一致率と Turnitin の AI スコアは、異なる軸で異なるものを測っています。Turnitin の内部でも、同じ切り分けが AI Writing Report と Similarity Report の間に存在します。
一方を通過しても、他方を通過するとは限らない理由
混乱はたいてい、学生が自分の論文を SafeAssign にかけて類似率の低い数値を得て、「これで安全だ」と思い込むところから始まります。盗用を疑われる点については安全です。しかし AI 判定を疑われる点については、必ずしも安全ではありません。二つの場面を考えてみてください。一つ目は、学生が自分で一語一語書いたものの、ある文献にかなり近い言い換えをしてしまった場合です。表現が重なっているため、SafeAssign は高い一致率を示すかもしれません。AI は一切関与していないのに、です。この場合、書き方のパターンは人間的なので、Turnitin の AI 判定が低いスコアをつける可能性が高いでしょう。二つ目の場面は、学生が AI ツールを使って、既存のどの資料とも一致しないオリジナルの文章を生成した場合です。テキストが新しいので、SafeAssign の結果は一致ゼロになります。しかし Turnitin の AI 判定は、それを AI 生成の可能性が非常に高いと指摘するかもしれません。語の出現確率のパターンが、モデルが機械的な書き方と結びつけて学んだものに一致するからです。この二つのツールは、相手が気にしていることに対して盲目です。SafeAssign の一致率は AI について何も教えてくれません。Turnitin の AI 判定は盗用について何も教えてくれません。一致を調べる側がどのデータベースを参照するのかは、照合の対象 で解説しています。
誰が何を見られるのか
もう一つ、知っておく価値のある違いがアクセス権です。Turnitin の FAQ は、AI ライティング判定について「only instructors and administrators are able to see the indicator」(その表示を見られるのは教員と管理者だけです)と述べています。学生は、教員がレポートの PDF 版を共有すると決めない限り、自分の AI スコアを見られません。一方 SafeAssign は、機関の設定次第で学生が自分の Originality Report を見られるように構成できます。つまり、学生がきれいな SafeAssign レポートを見て安心していても、教員が見ている Turnitin の AI スコアには一度も目を通せない、ということが起こります。一方のツールが数値を見せてくれるからといって、もう一方が同じものを見せているわけではありません。同じ人物が両方を見られるとも限りません。AI の割合が高いときに指導教員に求められる対応 では、この隔たりのうち、あなたからは見えない側を解説しています。
ここから何が言えるのか
ここまでの内容をまとめると、次のようになります。
- SafeAssign は、データベースとのテキストの一致を調べます。盗用対策のツールです。
- Turnitin の AI 判定は、語の出現確率のパターンを調べます。AI 検知器です。
- この二つのスコアは完全に独立しています。一方を通過しても、他方については何も分かりません。
- SafeAssign に指摘された論文が、必ずしも AI として指摘されるわけではありません。逆も同様です。
- 学生は通常、Turnitin で自分の AI スコアを見られません。一方、SafeAssign のレポートは機関の設定次第で表示される場合があります。
Turnitin または iThenticate の AI レポートがあり、指摘された具体的な箇所だけを手直ししたい場合は、レポートを取り込む ページから該当セクションのみを書き直せます。条件を満たす箇所は、無料で再実行できます。
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