GPTZeroのAI Patterns:「Everything in Threes」が出たらAI判定されたことになるのか?
GPTZeroの判定結果に新しいタブが追加され、自分の書いた文が「Everything in Threes」や「Phantom Experts」といったラベルの下に並んでいるのを見て、まるで不正を告発されたかのように感じているかもしれません。私たちはGPTZeroの機能告知記事、4oモデルのリリース記事、そしてこのパターンの元となったWikipediaのガイドを詳しく読み込みました。このパネルが何を主張していて、何を明確に主張していないのか、そして結果の上部に表示されるパーセンテージとどういう関係にあるのかを整理します。
HumanPen チーム
· 8 分
AI Patternに該当したら、GPTZeroにAIだと判定されたことになるのか?
単体では、そうとは言えません。AI Patternsタブに並ぶのは、GPTZeroがAIによる文章でより頻繁に見られるとした執筆習慣に合致した文です。GPTZeroの告知記事には、"an AI writing pattern is not proof of AI authorship"(AIのライティングパターンは、AIによる執筆の証拠にはならない)と明記されており、さらに "you may see these patterns in documents classified as human-written"(人間が書いたと分類された文書にも、こうしたパターンが見られることがある)とも書かれています。GPTZeroが公開したパネルのスクリーンショットでも、パターン件数の下に "These patterns are not directly tied to the AI score."(これらのパターンはAIスコアに直接結びついているわけではない)という一文が添えられています。実際の判定結果は画面上部にある部分、すなわちAI、Mixed、Humanのパーセンテージと確信度の表現です。GPTZeroが明かしていないのは、「直接結びついていない」という表現がどれほどの余地を残しているのかという点です。
本記事は、GPTZeroの記事『10 AI Patterns, and A New Way to Understand AI-Like Writing』(2026年8月19日公開、9月28日更新)、『Introducing GPTZero 4o』、およびWikipediaのガイド『Signs of AI writing』に基づいています(いずれも2026年10月2日に確認)。
AI Patternsパネルとは何か
AI Patternsは、GPTZeroのAdvanced Scan内にあるタブで、AI SentencesとAI Vocabの間に配置されています。GPTZeroが2026年8月19日に導入したもので、文書について "identifies, extracts and explains recurring stylistic and rhetorical AI writing patterns in your document"(文書内で繰り返し現れる文体や修辞上のAIライティングパターンを特定・抽出し、解説する)機能だと説明されています。
最初のリリースには10種類のパターンが含まれています。Overblown Importance、Name Dropping、Empty Commentary、Sales-pitch Tone、Phantom Experts、Dressed-up Verbs、「Not just X, but Y」、Everything in Threes、Unnecessary Caveats、Chatbot Languageです。実際のパネル上では、「Everything in threes」のように小文字になっていたり、「Name-dropping」のようにハイフンでつながれていたりするものもあります。
各パターンには専用のカードがあり、1行の定義、"1.6x more likely used by AI"(AIが使用する可能性が1.6倍高い)といった数値、そして該当した文とそれぞれの簡潔な解説が記載されています。読者の多くが目にしたであろう2つのパターンは、カード上で次のように定義されています。
- Everything in threes(3つ組の多用):"Groups ideas in tidy sets of three ("fast, simple, and reliable") to sound complete."(完成度を高めるように見せるため、考えを3つ1組(「fast, simple, and reliable」など)にきれいにまとめる)
- Phantom experts(実体のない専門家):"Credits claims to unnamed authorities ("experts say") without naming anyone."(具体的な名前を出さずに、主張を名前のない権威(「専門家によると」など)に帰属させる)
GPTZeroによると、この初期リストは "derived from Wikipedia's Signs of writing"(Wikipediaの「Signs of writing」に由来する)とされており、リンク先はWikipediaの編集者向けガイド『Signs of AI writing』(AIによる執筆の兆候)となっています。なお、フォーマットに基づくパターンは除外されており、その理由として、フォーマットは "reflects only a presentation choice separate from the underlying language and ideas"(根本にある言葉や考え方とは切り離された、表現形式の選択にすぎない)からだと説明されています。
「1.6x more likely used by AI」は何を意味しているのか
これはGPTZero独自のデータに基づく比率であり、提出したエッセイがAIによるものである確率ではありません。
GPTZeroの説明によると、人間が作成した文書(エッセイ、学術論文、ソーシャルメディア、Wikipedia、創作文など)と、複数のモデルファミリーから生成された対応するAI文書をペアにし、各パターンがAI版でどれだけ頻繁に出現したかを測定して、"expressed as a multiplicative factor (×)"(倍率(×)として表記)したとのことです。
GPTZeroの告知記事に掲載されたスクリーンショットでは、Everything in threesは1.6x、Phantom expertsは1.9xと表示されています。10枚のカード全体では、数値は1.2xから5.9xに及びます。これらのスクリーンショットは、GPTZeroが9月20日に4oモデルをデフォルトにする前の、4.9bとラベル付けされたモデルで撮影されたものです。そのため、手元のカードに別の数値が表示されている場合は、そのカードの数値を基準にしてください。
この数値は、その書き方の癖が「どれだけ怪しく見えるか」を反映しているわけでもありません。Chatbot Languageのカードには、"Is there anything else..."(他に何か…)や "You're absolutely right!"(まったくその通りです!)といった表現が記載されていますが、その数値はEverything in threesよりも低い1.2xにとどまっています。GPTZeroはデータがなぜそのような結果になったのかを説明していません。ただ、この数値が「いかにもAIらしく聞こえるかどうか」ではなく、GPTZeroの集計結果から機械的に算出されたものであることだけは確かです。
つまり1.6xが意味するのは、GPTZeroの比較データにおいて、AI文書のほうが人間による文書よりも要素を3つ1組にする傾向が強かったということにすぎません。人間が書いた文書でもそうした表現は使われており、そうでなければ比率として算出することすらできません。この数値から、あなたのエッセイにある特定の文について言えることは何もありません。GPTZero自身の言葉を引くと、次の通りです。
"None of these constructions is exclusive to AI writing, but they do appear disproportionately higher in AI-written documents compared to human-written ones. This also means you may see these patterns in documents classified as human-written. As such, an AI writing pattern is not proof of AI authorship..."(これらの構文はいずれもAIライティング特有のものではありませんが、人間が書いた文書に比べて、AIが書いた文書において著しく高い頻度で出現します。これは、人間が書いたと分類された文書にもこれらのパターンが見られる場合があることを意味します。したがって、AIライティングパターンに該当したとしても、AIが執筆したことの証拠にはなりません…)
このパネルとスコアの関係
パネル上の該当件数の下には、GPTZeroのスクリーンショットによると "These patterns are not directly tied to the AI score. They help recognize how AI writes."(これらのパターンはAIスコアに直接結びついているわけではありません。AIがどのように書くかを認識するのに役立ちます。)と表示されています。告知記事に掲載された12点の図のうち11点にこの一文が写っており、残る1点(図11)はスクロールされて画面外に隠れているだけです。手元のスクリーンショットでも、この行を探してみてください。
告知記事では、この機能が解説のためのものとして位置づけられています。すなわち、"helps explain why a piece of writing might appear to be AI-generated"(ある文章がなぜAI生成のように見えるのかを説明するのに役立つ)という位置づけです。また、4oのリリース記事でも、AI Patternsは検出器が無視した見出しをグレーアウトする機能とともに、"to make results easier to understand"(結果をより分かりやすくするため)に追加された機能として挙げられています。
同じ告知記事では、スコアとハイライトが明確に区別されています。"Our document-level scores give an overall picture, while sentence-level highlighting helps pinpoint where the strongest signals appear."(文書レベルのスコアは全体像を示し、文単位のハイライトは最も強いシグナルが現れている箇所を特定するのに役立つ)とある通りです。パターンの該当箇所もハイライト表示され、文の上にEVERYTHING IN THREESなどの小さなラベルが付きます。そのため、文がハイライトされているスクリーンショットだからといって、それが直ちにスコアの根拠となった文であるとは限りません。どのタブが開かれていたかを確認してください。文のハイライトや確信度の帯については、GPTZeroの「Mixed」と「AI-Polished」:各ラベルの意味で詳しく解説しています。
GPTZeroが語っていないのは、「直接結びついていない」がどこまでを意味するのかという点です。「直接ではない」ことは、「まったく無関係」であることと同じではありません。記事の最後のセクションでは、GPTZeroのスキャン形式が "the signals and patterns that contribute to an assessment"(評価につながるシグナルやパターン)を理解する手段を提供するとしていますが、これら10種類のパターンがその中に含まれるのかどうかまでは明記されていません。私たちは2本の記事を隅々まで確認しました。パターンに関する記事の本文(スクリーンショットを除く)で「score」という単語は3回登場しますが、パターンへの該当がスコアに影響するかどうかについて述べている箇所は1つもありませんでした。
実務的な読み方としては、画面最上部にある判定こそが結果であり、パターン一覧は文体に関するコメントにすぎない、と捉えるのが妥当です。
自分で書いた文が該当してしまう理由
GPTZeroが参考にしたWikipediaのガイドは、自身の限界について率直に述べています。"Not all text featuring these indicators is AI-generated, as the large language models that power AI chatbots are trained on human writing, including Wikipedia. Many elements of AI writing can be found in editorials, blogs, or fan fiction."(こうした指標が見られるテキストのすべてがAI生成というわけではありません。AIチャットボットを動かす大規模言語モデルは、Wikipediaを含む人間が書いた文章で訓練されているためです。AIライティングに見られる要素の多くは、社説やブログ、ファンフィクションなどにも見られます)という記述です。また、このガイド自体も "descriptive, not prescriptive"(規範的ではなく記述的)であり、"observations, not rules"(規則ではなく観察事項)のリストであると断っています。
特に3つの要素を並べる修辞(rule of three)について、同ガイドは、この兆候が "is stronger when it appears in contexts where most people would not bother to include such stylistic flourishes, like edit summaries."(編集の要約欄のように、大半の人がそのような文体上の修辞をわざわざ盛り込まないような文脈で現れた場合に、より有力な兆候となる)と補足しています。そしてエッセイや論文は、人間がまさにそうした修辞を意識して盛り込む類の文章です。
出所が曖昧な言及について、ガイドはAIに特化したものではないWikipedia一般のスタイルガイド『Unsupported attributions』(根拠のない帰属)を参照するよう求めており、注意すべき表現として「Experts argue」(専門家は主張している)を挙げています。Wikipediaは、これを誰が書いたかにかかわらず、単なる文体上の問題として扱っているのです。
さらに同じガイドには、"Do not solely rely on artificial intelligence content detection tools (such as GPTZero and Pangram)."(人工知能コンテンツ検出ツール(GPTZeroやPangramなど)だけに依存してはならない)とも明記されています。
パネルの表示を消すためにリライトすべきか?
エッセイ全体を見直し、3つ組になっている箇所をすべて解体したくなるかもしれませんが、それをお勧めすることはありません。
GPTZeroはパネルをクリアすれば判定結果が変わるとは言っていませんし、パネル自身にもパターンはスコアに直接結びついていないと記されています。得られるメリットは不確かな一方、払う代償は明白です。論点によっては実際に3つの要素から構成されており、並列して記述するのが最も明快な場合もあります。提出期限の週に完成したエッセイを1文ずつ手作業で書き直す行為は、新たな誤りを紛れ込ませる原因にもなり、締め切りまでに自力でそのミスを見つけ出さなければならなくなります。
よくあるもう1つの対処法、すなわちすべてのエムダッシュ(—)を削除することも同様です。GPTZeroはフォーマットに関する要素をパターンから完全に除外しており、4oのリリース記事でも同社のモデルは "designed to be indifferent to punctuation changes"(句読点や記号の変更に左右されないよう設計されている)と述べられています。エムダッシュに関する主張については、エムダッシュはAIの兆候なのか?でさらに詳しく検証しています。
相手からスクリーンショットを突きつけられたときの対処法
- 相手がどの部分を根拠にしているのかを確認する。 画面上部の分類判定とパターンリストは別物です。もしパターンリストを根拠にしているのであれば、GPTZero自身の告知に "an AI writing pattern is not proof of AI authorship"(AIのライティングパターンは、AIによる執筆の証拠にはならない)と明記されていることを示し、公式リンク(https://gptzero.me/news/ai-patterns/)を提示してください。
- 切り抜きではなく、結果全体のスクリーンショットを要求する。 判定分類、パーセンテージ、確信度の表現、モデルのバージョン、日付、そしてパターン件数の下にある注意書きまで確認してください。パターンタブだけを切り抜いた画像では、GPTZeroがスコアと呼んでいる核心部分が抜け落ちてしまいます。
- 自身で執筆したプロセスを示す証拠を提示する。 下書き、バージョン履歴、メモ、参考文献などを揃えましょう。証拠をまとめる具体的な手順については、自分で書いたのにAI判定されたときの反論準備で詳しく取り上げています。
- 該当した文について説明できるようにしておく。 なぜそこで3つの論点を挙げたのか、「experts」と書いたときにどの文献を念頭に置いていたのかを説明できるように準備します。Wikipediaのガイドでも、"Ability to explain one's own editorial choices"(自身の編集上の選択を説明できる能力)を人間が執筆したサインの1つとして挙げています。
よくある質問
AIパターンの該当件数が増えると、AIのパーセンテージも上がりますか? パネルの表示を見る限り、直接は関係しません。GPTZeroが公開したスクリーンショットには、パターンが "are not directly tied to the AI score"(AIスコアに直接結びついているわけではない)と記載されています。これがどの程度の幅を持たせた表現なのかは明かされておらず、この機能に関する2本の記事でも説明されていません。
「1.6x more likely used by AI」は、自分のエッセイがAIによるものである確率ですか? いいえ、違います。これは、GPTZeroが自社の比較データにおいて、人間が書いた文書と比べてAI生成文書でそのパターンが何倍多く見つかったかを示す倍率です。
自分で書いたエッセイなのに、なぜAIパターンが表示されるのですか? それはGPTZeroも想定内の動作です。公式告知にも "you may see these patterns in documents classified as human-written."(人間が書いたと分類された文書にも、こうしたパターンが見られることがある)と書かれています。また、リストの元となったWikipediaのガイドにも、こうした執筆習慣の多くは "editorials, blogs, or fan fiction"(社説、ブログ、ファンフィクションなど)にも日常的に見られると説明されています。
エムダッシュ(—)もパターンの1つに含まれますか? いいえ、含まれません。GPTZeroはフォーマットに基づくパターンを意図的に除外したと述べており、4oの告知記事でも同社のモデルは "designed to be indifferent to punctuation changes"(句読点や記号の変更に左右されないよう設計されている)と説明されています。
出典
- Edwin Thomas、GPTZero、10 AI Patterns, and A New Way to Understand AI-Like Writing、2026年8月19日公開、2026年9月28日更新、2026年10月2日閲覧(本文および図1〜12)。
- GPTZero Team、Introducing GPTZero 4o、2026年9月24日、2026年10月2日閲覧。
- Wikipedia、Wikipedia:Signs of AI writing、WikiProject AI Cleanupによるアドバイスページ、2026年10月2日版、2026年10月2日閲覧。
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