心理学の論文とAI検出:書き始める前にAPA 7が推奨していること
心理学の論文は、スタイルマニュアルが文のレベルまで踏み込んでくる数少ない文書のひとつです。APAはセクションごとに時制を推奨し、JARSは研究報告に含めるべき情報を一覧化し、数字のガイドは小数の書式を定めています。ここでは、それらのガイドと、受講科目や投稿先ジャーナルの要件とを切り分け、何を安全に変更できるのかを判断する方法を説明します。
HumanPen チーム
· 12 分
すべて自分の言葉で書いたのに、APA形式の心理学論文が高いAIスコアで返ってくるのはなぜか
心理学論文の大部分は、書き手が書き始める前に書かれた指針に従っています。APAはセクションごとに時制を推奨し、JARSは透明性の高い報告を支える情報を示し、数字のガイドは統計値の書式を定めています。この論文でどの報告項目が必須になるかを決めるのは、科目の課題説明や投稿先ジャーナルです。Turnitinは別の文書で、自社の分類器が単語確率のパターンを学習すること、そして偽陽性には構造的な変化に乏しいテキストが含まれうることを述べています。方法や結果にフラグが付いたとしても、それだけでAIがそのセクションを書いたとは言えません。研究の事実や必須の開示事項を削ることは、誠実な対処ではありません。
何よりも先に明確にしておきたいことがあります。ここで参照したTurnitinのAI執筆検出FAQは、APAについて何も主張していません。私たちは2026年8月27日にこのページを全文読みました。描画されたテキストは31,712文字で、その中を検索しました。`APA` は単語として0回。`MLA` 0回。`style guide` 0回。`citation` 0回。`discipline` 0回。`psychology` 0回。ページ上でそれに最も近いのは、学習データが "less common subject areas such as anthropology, geology, sociology, and others."(人類学、地質学、社会学など、一般的ではない分野を対象としているという趣旨)に及んでいるという記述です。
その計測は機能していました。同じページで `qualifying text`(解析対象テキスト)は4件、`word probability` は2件、`structural variation` は1件ヒットします。つまり、この記事が引いたつながりは私たち自身のものであり、互いに言及し合うことのない二組の文書から組み立てたものです。私たちは以前、別の問いを立ててこのページを集計したことがあり、なぜAI検出器はよく書けたエッセイにフラグを付けるのかは、文章の質に関する語彙で検索したときに何が起きたかを報告しています。
方法の書き方の慣習は、既発表の論文から受け継がれる
同じ専門分野の論文を見ながら方法セクションの書き方を覚えたなら、おそらく内容だけでなくその形まで踏襲しているはずです。既発表の例から新しい論文へと慣習が受け継がれる経路は、こうしたものです。
そこにAPAの時制の推奨と、科目や投稿先ジャーナルが求める報告項目が加わります。参加者についての段落には、構造上の余地がほとんど残らないかもしれません。
英語が母語でない場合、この引力はさらに強くなります。お手本となる文が、書式と一緒に文法も運んでくるからです。それがスコアに表れるかどうかは別の問題であり、ベンダー側の資料も別にあります。非ネイティブスピーカーの文章がAIとして判定される?公式文書が述べていること
APA 7が文のレベルで推奨していること
まずは時制から始めましょう。多くの人はAPAを引用書式のことだと思って、そこで止まってしまいます。APAの時制のページには、論文のセクションごとに推奨される時制を独自の例とともにまとめた表があります。
| 論文のどの部分か | 推奨される時制 | APAが掲載している例 |
|---|---|---|
| 文献レビュー | 過去形、または現在完了形 | 「Martin (2020) addressed」・「Researchers have studied」(それぞれ「Martin (2020) は扱った」「研究者たちは研究してきた」の意)。 |
| 方法、手続きの記述 | 過去形、または現在完了形 | 「Participants took a survey」・「Others have used similar approaches」(それぞれ「参加者は調査を受けた」「他の研究者も同様の手法を用いてきた」の意)。 |
| 自分自身または他者の結果を報告する | 過去形 | 「Results showed」・「Scores decreased」・「Hypotheses were not supported」(それぞれ「結果は示した」「得点は低下した」「仮説は支持されなかった」の意)。 |
| 含意の考察 | 現在形 | 「The results indicate」・「The findings mean that」(それぞれ「結果は示している」「知見が意味するのは」の意)。 |
| 結論、限界、今後の方向性 | 現在形 | 「We conclude」・「Limitations of the study are」・「Future research should explore」(それぞれ「私たちは結論する」「この研究の限界は」「今後の研究は探究すべきである」の意)。 |
右側の列をもう一度読んでみてください。ある論文が「AIっぽい」と言われるときに人が指さすのは、まさにこうした文頭です。これらはAPA自身のウェブサイトに掲載されており、同ページにはこの指針がPublication Manualのセクション4.12にあると記されています。
報告の指針が対象とするのは文法だけではありません。JARS-Quantの表1の表題は「Information Recommended for Inclusion in Manuscripts That Report New Data Collections Regardless of Research Design,」(研究デザインを問わず、新たなデータ収集を報告する原稿に含めることが推奨される情報)で、まるで持ち物リストのようです。
- "Report inclusion and exclusion criteria, including any restrictions based on demographic characteristics."(組み入れ基準と除外基準を報告すること。人口統計学的特性に基づく制限があれば、それも含める。)
- "Report major demographic characteristics (e.g., age, sex, ethnicity, socioeconomic status)."(主な人口統計学的特性を報告すること。例えば年齢、性別、民族、社会経済的地位。)
- "percentage of sample approached that actually participated"(実際に参加した、接触した標本の割合)、および予定した標本サイズと達成した標本サイズがどのように決定されたか。
- "results of all inferential tests conducted, including exact p values if null hypothesis significance testing (NHST) methods were used"(実施したすべての推論検定の結果。帰無仮説有意性検定・NHSTの手法を用いた場合は、正確なp値も含めること。)
- "effect-size estimates and confidence intervals on estimates that correspond to each inferential test conducted, when possible"(実施した各推論検定に対応する効果量の推定値と、その推定値の信頼区間。可能な場合は必ず。)
この表題は重要です。APA自身のJARSの概要ページは、それを「構造化されたガイド」と呼び、教育者や学生も利用できると述べたうえで、著者には各ジャーナルがその利用を投稿規定で周知していると伝えています。APA 7を採用したからといって、表1のすべての行が、あらゆる学生レポートやジャーナル原稿の普遍的な要件になるわけではありません。
次は数字です。APAのNumbers and Statistics Guideは、正確なp値は小数点以下二桁または三桁まで報告すること、.001未満の値は "p < .001" と書くこと、そして本文中では "Use the term, not the symbol, for statistics"(統計量には記号ではなく語を用いること)とし、"the means were"(平均値は〜であった)をその例として挙げています。
この三つの文書を机の上に並べると、方法の段落にはほとんど余地が残らないかもしれません。時制は推奨され、報告項目は一覧化され、数字は書式が決められています。その地図のどこまでが必須なのかは、結局のところ課題、研究デザイン、投稿先ジャーナルによって変わります。
そういう見た目のテキストについて、ベンダーは何と言っているか
TurnitinのFAQは、検出しようとしている違いを統計的な言葉で説明しています。
「Our classifiers are trained to detect these differences in word probability and are adept at the particular word probability sequences of human writers.」(当社の分類器は、単語確率におけるこれらの違いを検出するよう訓練されており、人間の書き手に特有の単語確率の並びに精通しています。)
同じページには、このモデルは "is not explicitly programmed to evaluate specific signals such as 'burstiness,' 'perplexity,' or other individual metrics sometimes referenced in public discussions."(公の議論でときに言及される 'burstiness,' 'perplexity,' といった個別の指標を明示的に評価するようにはプログラムされていない)とも書かれています。二つを並べて読むと、この否定が向いているのは公の議論で流通している二つの指標であって、語の選択そのものの統計ではありません。単語確率とTurnitin:分類器が実際に読んでいるもので、この点をきちんと分解しています。
同じFAQは続けて、自社の偽陽性がどのようなものかを挙げています。
「Sometimes false positives (incorrectly flagging human-written text as AI-generated), can include content without a lot of structural variation, text that literally repeats itself, or text that has been paraphrased without developing new ideas.」(偽陽性、つまり人手で書かれたテキストを誤ってAI生成と判定することが起きる場合、そこには構造的な変化に乏しい内容、文字どおり繰り返しの多いテキスト、あるいは新しい考えを展開せずに言い換えられたテキストが含まれうる。)
そのすぐ後にある一文こそ、面談に持っていく価値のある文です。
「If our indicator shows a higher amount of AI writing in such text, we advise you to take that into consideration when looking at the percentage indicated.」(そのようなテキストで当社の指標がより高いAI執筆量を示した場合、表示された割合を見る際にはその点を考慮に入れることをお勧めします。)
APAの方法セクションは、スタイルの指針と報告への期待が選択肢を狭めるため、構造的な変化に乏しくなることがあります。その類似性は考えうる関連であって、APAの書式がスコアを引き起こしたという証拠ではありません。ある特定の論文について、ある特定のスコアが正しいか誤りかを、これが決めるわけではありません。
APA論文の多くは、そもそも測定の対象に入っていない
レポートの数値は、文書の一部から算出されます。全部ではありません。Turnitinが読む対象を定義しているからです。
「This qualifying text includes only prose sentences, meaning that we only analyze blocks of text that are written in standard grammatical sentences and do not include other types of writing such as lists, bullet points (short non-sentence structures), or other non-sentence structures.」(この解析対象テキストに含まれるのは散文の文だけです。つまり、標準的な文法的文で書かれたテキストのまとまりのみを分析し、箇条書きやビュレットポイントのような、文ではない短い構造、あるいはその他の文ではない構造といった種類の文章は含まない。)
この定義はAPA論文の全体に均等には当てはまりません。心理学は特に厄介なケースです。マニュアルは、表にすでにある統計値を本文中で繰り返さないよう求めているからです。
| APA 7論文の構成部分 | APAやJARSがそこで求めるもの | ベンダーがその種のテキストについて述べること |
|---|---|---|
| 表題ページと著者注記 | JARSは、事前登録の情報、資金提供、利益相反を含む報告項目を推奨している | 文ではない短い行は、解析対象テキストの外に置かれる |
| 抄録 | JARSは、目的、参加者、研究手法、知見、結論を推奨している | 散文の文、したがって分析の対象内 |
| 方法 | JARSは、組み入れと除外、人口統計、標本抽出手続き、測定尺度、心理測定の特性を一覧化している | 散文の文、対象内 |
| 結果の記述 | JARSと統計ガイドは、正確なp値、効果量、信頼区間、参加者の流れを扱っている | 散文の文、対象内 |
| 平均値と標準偏差の表 | APA:「Do not repeat statistics in both the text and a table or figure」(統計値を本文と表や図の両方に重複して示してはならない) | 2023年のリリースノートには、表内の長文の散文も処理対象になると記されています。平均値の表には散文の文がないため、上の定義に照らせば解析対象テキストには当たりません。この最後の一歩は私たちが定義を読み解いたものであって、ベンダーが示した実例ではありません。 |
| 参考文献リスト | APAの参考文献書式、アルファベット順 | 2023年のリリースノートには、参考文献内のAI執筆箇所をハイライトしてしまう不具合が修正されたこと、および "Bibliographies are now excluded when processing the AI writing report."(AI執筆レポートの処理にあたって、参考文献一覧は除外されるようになった)が記されています。同じノートは、その変更を適用するには論文を再提出する必要があったとも付け加えています。 |
引用の多い心理学論文では、参考文献リストが数ページに及ぶこともあり、表が生成した数値の大半を抱えていることもあります。どちらも採点対象の外、あるいはほぼ外にありますが、方法の散文は完全にその内側にあります。TurnitinのAI検出における「解析対象テキスト」とは何かが一般的なルールを、Turnitinは表の中のテキストを読むのかが表のケースを扱っています。
時制には指針がある。それでも文体はあなたのものだ。
これこそが、次に何をすべきかを実際に変える区別です。そして、多くの推敲アドバイスが飛ばしてしまう点でもあります。
三つの情報源は、それぞれ役割が違います。APAは時制を推奨し、JARSは該当する研究デザインに応じた報告基準を提示し、数字のガイドは統計値の書式を与えます。どの報告項目が必須かを決めるのは、科目やジャーナルの指示です。これらの情報源が、あなたの代わりに文を書いてくれるわけではありません。"The results indicate"(結果は示している)と "Future research should explore"(今後の研究はこれを探究すべきである)は時制の例示であって、必須の表現ではありません。
つまり、論文は二つに分かれます。
事実と、必須とされる開示事項は固定です。 研究で組み入れ基準と除外基準を用いたなら、課題やジャーナルが求める箇所でそれらを正確に報告してください。達成した標本サイズとその決定方法、正確なp値、効果量、信頼区間、信頼性係数についても同じです。文の表現は変えられますが、背後にある研究自体を変えたり、段落を型どおりに見せないために必須項目を削ったりはできません。方法と結果:言い換えてよいものと、正確さを保つべきものは、表現と科学的記述の境界線をたどっています。
あなたの説明。 その問いがなぜ重要なのか。先行研究のどこに隙間があるのか。測定尺度がどう振る舞ったかを踏まえて、この結果が何を意味するのか。JARSは、結果を解釈する際に "taking into account sources of potential bias and threats to internal and statistical validity"(潜在的なバイアスの源と、内的妥当性および統計的妥当性への脅威を考慮に入れること)を推奨し、一般化可能性について論じるよう求めています。何を結論とすべきかは述べていません。あなたの考察が他のどの考察とでも置き換えられるように読めるなら、それは習慣であって、マニュアルが与えた文ではありません。
方法や結果がハイライトされて返ってきたら
- 数値の前に、ハイライトの付き方を見てください。 方法の章が切れ目のない一つのハイライトの塊として返ってくる場合、まず理解しておくべき機械的な説明があります。Turnitinが方法論のセクション全体にフラグを付けた
- ページ数ではなく、散文の量を数えてください。 短いレポートで分析対象の散文がわずか数百語しかない場合、ベンダーによれば予測は「mostly 'all or nothing'」(ほぼ「all or nothing」、つまり全か無か)になります。短い文書とTurnitinの全か無か問題を参照してください。
- 表現に手を付ける前に、要件を書き出してください。 課題の説明やジャーナルの投稿規定を、該当するJARSの表の隣に置きましょう。提出先が実際に求める項目はすべて残し、研究の事実はすべて正確に保ちます。JARSは報告の地図であって、すべての項目がどのAPA論文でも必須だという証拠ではありません。
- ベンダー自身の立場を持ち込みましょう。 同FAQは、その割合は "should not be used as the sole basis for action or a definitive grading measure by instructors."(教官が何らかの対応を取る、あるいは決定的な評価尺度とする唯一の根拠として用いるべきではない)と述べています。AI割合が高いときに指導教官が取るよう指示されている対応が、この種の指針をまとめています。
- 誰かが基準値を突きつけてきたら、AI 20%は高すぎるのかが、なぜ公表されたどの数値も合格基準にならないのかを説明しています。
どうせ表現を変えるのなら
APAの結果の段落を手作業で書き直すときには、特有の失敗のしかたがあります。イタリックの規則、小数点の規則、そして表にすでに出ていることは繰り返さないという規則を背負った数値の周りで、文を動かしているからです。危ういのは数値と書式であって、散文ではありません。
この記事に HumanPenというツール が登場する理由はただ一つ、承認画面にあります。約束されたスコアではありません。HumanPenは私たちが作っているため、これは提供元からの情報として読んでください。修正してもよいと判断した結果の散文を選択すると、このツールは処理を開始する前に段落単位の対象範囲を表示します。この画面を使って、表の注記、数値の記述、隣接する段落が対象に紛れ込んでいないかを確認してください。既存のTurnitinやiThenticateのレポートを取り込んで、候補箇所を特定することもできます。返却される文書は編集可能なままで、用語、引用、スタイル、構造を保つよう設計されています。それでも、すべての統計値は解析出力と突き合わせてください。条件を満たす箇所は、無料で再実行できます。Turnitinのレポートがマークした段落だけを書き直すでは、レポート起点の進め方を扱っています。
処理後にスコアがどうなるかは、事前に誰にも約束できません。どの手段を使うにせよ、提出前に、返ってきた統計値と解析出力を並べて照合してください。小数の一桁を失ったp値は、ハイライトされた一文よりも深刻な問題です。
よくある質問
APA形式を使うこと自体がAIスコアを上げるのか。 この記事で読んだAI検出のFAQに、そのような主張はなく、APAにもMLAにもスタイルガイドにも言及していません。同FAQが述べているのは、偽陽性に構造的な変化の乏しいテキストが含まれうるという点だけです。APAの指針や報告への期待が一部のセクションで変化の幅を狭めることはあっても、それによってAPAの書式がスコアの原因だと立証されるわけではありません。
方法セクションを、型どおりに聞こえないように書き直すべきか。 研究の事実を変えたり、科目やジャーナルが求める項目を削ったりしてはいけません。該当する報告基準をチェックリストとして使い、この論文に当てはまるものを確認したうえで、科学的な中身ではなく表現を見直してください。
表や参考文献リストも割合に含まれるのか。 分析されるのは解析対象となる散文の文だけです。2023年のリリースノートによれば、AI執筆レポートの処理時には参考文献一覧が除外されます。ただし古いレポートにその変更を適用するには、再提出が必要でした。つまり、その割合は文書の一部を説明しているのであって、全体を説明しているわけではありません。
結果のセクション全体がハイライトされた。解析は自分でやったのに。 解析を自分で行ったことは、数値の出どころを示すものです。それだけでは、その散文を誰が書いたかを示すことにはなりません。結果の本文を自分で書き、構造的な変化が乏しいのなら、ベンダーが挙げる偽陽性の特徴の一つに当てはまる可能性はあります。それでも、割合は単独で行動の根拠になるものではありません。ハイライトを評決とみなすのではなく、レポート、データファイル、下書きを持って話し合いに臨んでください。
これはAPA 6の論文や質的心理学にも当てはまるのか。 上の時制の指針と報告基準は、第7版とJARS-Quantのものです。質的研究にはAPAの別の基準があります。どちらの場合も、何を変更できるかを決める前に、該当する基準と、科目や投稿先ジャーナルの要件を確認してください。
続きを読む